おおきに~。風呂敷専門店「むす美京都」スタッフ横関です。
むす美京都にとって初めての正月を迎え、店内入り口は70ハレ包みで"ハレ"ムード満点となっています。
むす美ブログでは、広げても包んでもその柄と色を楽しむことのできるハレ包みシリーズを何度かご紹介してきました。
「風呂敷で紅白」
https://www.kyoto-musubi.com/blog/2017/12/post-823.html
「主役にも名脇役にもなれる「梅」文様」
https://www.kyoto-musubi.com/blog/2017/12/post-822.html
「<今週のおすすめギフト>~引き出物~」
https://www.kyoto-musubi.com/blog/2017/12/post-805.html
こちらを見て頂くとハレ包みを用いた様々な包み方があることがおわかりいただけるかと思います。
対して今回は、ハレ包みに使われている"文様"に注目します。
和文化と深い馴染みのある特別な文様「片身替わり」「市松」「松竹梅」について少し皆様に知って頂けたらと思います。
まずは「片身替わり」です。
「片身替わり」という言葉は、着付けをされている方や器がお好きな方からお聞きになったことがあるかと思います。
これは模様配置の一種で、元は安土桃山時代ごろに流行した和服の布地や文様を,左右あるいは一幅ごとに替えて仕立てたものを指します。
大胆な対照的文様構成が舞台効果をさらに高めるということで、桃山時代の能装束にも好んで用いられました。
さらに衣服だけでなく、陶器や調度品の模様づけにもこの手法が応用されるようになったことも特徴的です。
例えば、こちらは輪島の塗師・奥田志郎さん作の漆塗りのお椀です。
片身替わりが作り出す大胆なコントラストが器の静謐な雰囲気をより高めています。
ここで紹介しきれない様々な片身替りのバリエーションが着物や器、工芸品には用いられています。
ぜひ探してみてください。
それでは「市松」はどうでしょう。
この名称はどなたも耳にしたことがあるかと思います。
来る2020年開催の東京五輪エンブレムに採用されたのが記憶に新しいですね。
「市松」が表す色の異なる正方形の連続模様は、もともと文様としては古くから存在していました。
しかしそれが「市松」として親しまれるようになったのは歌舞伎役者、佐野川市松の影響です。
徳川吉宗の時代にその美貌から女性たちに大変に人気があった市松さん。
彼があるお芝居の中で身に着けたのが、紺色と白色の碁盤縞をならべた模様の袴でした。
その姿が非常に人気を呼び、模様自体が「市松模様」・「市松格子」として女性たちのあいだで大流行したのが始まりというわけです。
まさに立役者!
最後に、「松竹梅」のご紹介です。
(梅しか描かれてない?と思われた方はリンク先をご覧ください。)
「松竹梅」と言えば、縁起の良いモチーフの代表格として、お祝い事には欠かせない吉祥柄となっています。
華やかに意匠化されたこんなイラストは、よく年賀状に用いられます。
この「松竹梅」はそもそも中国で「歳寒三友(さいかんさんゆう)」と呼ばれていました。
冬の寒さに耐え抜く松竹梅を尊ぶこの考えが転じて、めでたいものの象徴・縁起物という意味合いが日本で持たれるようになったと言われています。
"松が特上、竹が上で、梅が並"と、お料理の等級を表すものさしにもなっていますね。
なお、文様としての松竹梅には上下関係はありません。
文様はその華やかさや構成の巧みさだけでなく、その成立の背景や意味合いを知るとより面白さが深まっていきます。
まだまだ私は勉強中です...
それでは、風呂敷専門店「むす美京都」スタッフの横関でした。
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